初恋

初恋は甘くほろ苦い。

僕が初めて人を好きになったのは小学2年生の時。同じクラスの女の子だった。可愛く人気があった。彼女は今なにをしているのか、どこにいるのかはもう分からない。当時あんなに好きだったのに、夢にも出てきたのに。今じゃ彼女のことなんて一瞬も頭によぎらない。彼女との思い出ももうほとんど覚えていない。ただ覚えているのは鼻くそをよくほじっていたことだ。もったいなさすぎる。何故だろう。なんで人は鼻をほじるのか。ほじった鼻くそはどこへ行くのだろうか。捨てたの?食べたの?彼女に問いかけたくても問えない自分にもどかしさすら感じる。僕はそんなことを反芻しながら部屋の片付けをし始めた。そう、掃除である。今じゃ掃除なんか自分の部屋くらいしかしないし、頻度も減った。昔は毎日学校で掃除していたのに、、、

 

キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン

「よぅし!掃除するぞー!!全員机寄せろー!」

先生の号令で一気に椅子を上げ、机を寄せる。いつもの光景だ。そして教室の半分をまず掃除する。

「机寄せてもう半分掃除するぞー!」

また先生の号令で机を寄せる。先生は他の掃除場所を間に合った。その時

「たかし!こっちこいよ!」

お調子者のゆうたが相棒のたかしを呼んだ。たけしが向かう。それは僕の好きな子の机だった。また彼らはふざけるのだろう。

「ゔぉぇ!!ゔぉぇ!!」

その声に驚き振り返るとたかしが唸るように吐いていた。ゆうたも驚き慌て始めた。

さらに驚いた僕も近づくと、ゆうたが言った。

「、、、これ見たらたかしが吐いた」

彼女の椅子の裏にほじりためた鼻くそがびっしりあった。そりゃ吐くわ。