スメルスライクうんちっちドリーム
人よりも五感が発達している。そして誰よりも繊細である。
特に「嗅覚」、ニオイに関してはかなり敏感だ。
嗅覚が鋭い私にとって、薄汚れた都会の街は地獄だ。大量の人間、下水、ゴミ。全てが汚れた東京では悪臭の源に溢れている。
特に、うんざりするのは電車。満員電車が当たり前な都会の電車に、パーソナルスペースなど存在しない。人と人との肌がふれあい、密着する車内では、人間の体温の温かさなどではなく、不快感しか感じ得ない。ここでもやはり、おっさんの加齢臭、ババアのキツイ香水、ナチュラルに臭いやつの香りが鼻腔を刺激する。おまけに偏頭痛持ちの私は、ひとたび発症すると、ただでさえナチュラルで人より5倍の嗅覚がさらにその10倍になる。界王拳か。
全国の鉄道会社のみなさん(特に西武線)、百歩譲って冷房の効きが悪いのは我慢します。でも、換気だけは徹底してください。
そんなわけで、とにかく電車で感じられる人の体臭に耐えられないのだ。
今日も、私が一日の労働を終え、疲れ果てて帰宅している時のことである。いつも終点から乗車しているため、幸い帰りは座れる。
今日もつかれたなあ、早く帰ってシコって寝よう・・・
そんなことを考えていると次の駅で乗客が大勢乗ってきた。すると、
バババッ!!と男が走って私の席の横を陣取った。
ッッッッッッッッックッサイ!!!!
例えるなら、骨折した時に二ヶ月付けっ放しのギプスを完治後、外した時のあの臭い。あれを全身から発しているような感じ。
全身骨折したのかな?男は中年でスーツ姿。しかし、一般のサラリーマンのような風体ではなく、全体的に小汚く、スーツも所々土?のようなものが付いていた。持っているブリーフケースもクソ汚え。
本当にサラリーマンか?こんな汚男(「きたなおとこ」と読みます)、営業で来たら即突っぱねるところだ。
流石に周りの乗客も少し気にしているご様子。しかも私は直でその臭いを嗅いでいるのだから、鼻がもげそうな勢いだった。
幸い、男は三駅ほど先で降りたのだが、そのイヤ〜な残り香が鼻の奥底にいつまでもあるようで、最寄駅に着くまで気分が悪かった。
ああ〜やっと家に着いた、早くシコって寝よう!な〜んて自分の部屋でくつろいだ瞬間。
ん?あの汚男のニオイであ?!
私自身にあの汚男の臭いが染み付いてしまったようだ。
帰宅ハッピーな私に帰ってまで不快感を与えるなんて、地獄に落ちてればいい。
電車のみならず、自宅までも着いてくるニオイとは、もはやスメハラなんて域を脱している。
絶対にあの汚男の臭いに決まっている。
だってこんなに、臭いに敏感で繊細な私の部屋から悪臭が香るはずないのだ。
いくら飲みかけのペットボトルを十数本放置しているからといえ、
いくら食いかけのメロンパンが枕元にあるとはいえ、
いくら床がシコッティ(シコッた後のティッシュ)で埋め尽くされてるとはいえ、
いくら掃除機を半年かけてないとはいえ、
いくら使い終わったTENGAが乱立してるとはいえ、
いくら枕がコーンより黄ばんでいるとはいえ、
いくら干しほたるいかが床に散らばってるとはいえ、
いくら脱いだ下着や濡れたタオルが散らかってるとはいえ、
私の部屋から悪臭がするわけないもの。ドルルルルルルルルルル(水分を含んだ屁の音)
ちーん。